事件の詳細 - 操作ウイルス事件

「パソコン初心者なびの管理人」である現役パソコンインストラクターのmakoが、パソコンに関するニュースを初心者の方にもわかりやすく解説します。パソコン初心者の方に「事件の詳細 (操作ウイルス事件)」をお伝えします。

遠隔操作ウイルス事件とは?

ニュースの時期:2012年10月~

悪い人が他人のパソコンを遠隔操作して、インターネットにある掲示板に犯罪予告(殺人や脅迫)をした事件です。

 

遠隔操作について

このニュースを聞いて最初に感じる疑問は「どうやって他人のパソコンを遠隔操作できるの?」ということです。

他人(ここではAさんにします)のパソコンを遠隔操作するために必要な条件は、悪い人のパソコンとAさんのパソコンがインターネットができる状態にあることです。

インターネットに接続しているということ

インターネットをするためにはプロバイダとの契約が必要です。光ファイバーやモバイルデータ通信など自分でプロバイダと契約したつもりがなくても、実際には契約されています。

インターネットに接続する(ホームページを見たり、メールをしたりする)ということはプロバイダと接続していることになり、プロバイダを通じて世界中にあるホームページを見られる仕組みです。

自分のパソコンがインターネットに接続するとうことは、間接的に「世界中のパソコンと接続されている」とういうことなのです。パソコンからケーブルでモデム(インターネットをするための機器)に接続されていなくても、無線で電波を飛ばしていても同じことです。

被害に遭うまで

ここでの内容はパソコン初心者の方に理解していただくために、実際の事件とは少し異なる部分もあります。

ウイルスに感染する

悪い人がウイルスに感染させたホームページを作ったり、他人のホームページにウイルスを侵入させます(悪い人はプロなので何でもできてしまうのです)

Aさんが気になる言葉を元にYahooやGoogleで検索したら、悪い人のホームページが検索結果の最初に表示されましたので、Aさんはホームページを開きました。

そのホームページAさんが見ていたら、気になる言葉が見つかりました。その文字は青くなっていて、クリックするとどうやら詳細が見られそうです。

クリックすると詳しい内容が表示されました。このときに「いかにもウイルスに感染した」という内容が表示される場合がありますが、普通を装っている場合もあります。

この時点で、Aさんのパソコンはウイルスに感染してしまっているのです。これをテレビや新聞などのメディアは「コンピューターウイルス」と表現していますが、実際には「トロイの木馬」という悪いソフトのことです。詳しくは「セキュリティ-ウイルスの種類」をご覧ください。

このページでは一般的に利用される「ウイルス」に統一させていただきます。

遠隔操作される

Aさんのパソコンに入ったウイルスは「今、他人のパソコンに侵入しました」ということを悪い人に伝えます(インターネットに接続されているからできることです)

ウイルスから送られてくる情報によって悪い人はAさんの位置(細かい住所まではなかなかわかりません)やAさんのパソコン環境がわかります。

ウイルスがAさんのパソコンを操ることができるコントローラーになってしまうのです。

コントローラーを手に入れた悪い人は、Aさんのパソコンを使って、掲示板に犯罪予告をしてしまうのです。

匿名じゃないインターネット

警察にはインターネットの犯罪を取り締まる人がいます。

インターネットで誰でも見ることができる掲示板に犯罪予告があった場合、警察が動き出します。

犯罪予告が書かれた掲示板の管理人やその掲示板があるサーバー(インターネット上の掲示板を置いておく場所)、Aさんのパソコンが掲示板にたどり着くまでに経由してきたプロバイダなどに問い合わせをします。

いろいろ調べると、AさんのIPアドレスがわかるのです。

IPアドレスとは?

日本語にすると「識別番号」、とっても簡単に言ってしまうとIPアドレスとは、「ハガキを送るときに書く差出人の住所」です。

インターネットをするということは、接続しているパソコンのIPアドレスがプロバイダに残ります(実際にはプロバイダから自分のパソコンにIPアドレスが割り当てられます)

掲示板に自分の名前を書かなくても、IPアドレスを調べられるとある程度の情報はわかってしまうのです。

IPアドレスは誰にでも簡単にわかるものではありませんので、インターネットでは表面的に匿名を守ることはできますが、パソコンのプロや警察が本気になれば、IPアドレスが漏れてしまいます。

警察の対応

IPアドレスを警察が調べると、「Aさんのパソコンで掲示板に犯罪予告が書きこまれたこと」がわかりました。

ここで警察の誤算がありました。IPアドレスを元にAさんのパソコンを特定したのはいいのですが、まさか悪い人に遠隔操作されているなんて思わなかったのです。

遠隔操作されていなくても、IPアドレスは偽装もできます。

パソコンに詳しい一般の人でも「IPアドレスだけでは100%の確率でそのパソコンだとは言えない」ということはわかるのです。

IPアドレスを信じすぎてしまったために、誤認逮捕が起こってしまったのです。

犯人の動機は?

犯人が捕まっていないので、はっきりしたことはわかっていませんが、真犯人と名乗る人物から「神奈川県の江の島にいる猫の首輪に記録媒体(マイクロSDカード)をつけたから探してみて」というメールと添付写真がありました。

メールと写真を元に猫を発見し、記録媒体と送られてきたメールを組み合わせて解析すると、「以前、事件に巻き込まれたせいで、人生の大幅な軌道修正をさせられた」などと書かれていたようです。

これが本当の犯人なら警察に恨みを持った犯行という可能性もあります。

遠隔操作されるということは、パソコンの中の情報も盗まれる危険があり、盗まれた個人情報やパスワードが悪用される恐れもあります。

被害に遭わないために

遠隔操作や不正アクセス(自分のパソコンの中を勝手に見られる)、ウイルスは100%防ぐことはできません。

ペンタゴン(アメリカ合衆国の国防総省)ですら不正アクセスを受けてしまうぐらいなのです。

悪い人から個人(一般の人)の狙い撃ちをされることはほとんどありませんので、しっかりしたセキュリティ対策と意識を持っていれば防ぐことができます。

対策

・怪しいホームページは見ない

・怪しい人(知らない人)からのメールは開かない

・出所がわからないソフトをダウンロードしない

・セキュリティ対策ソフトをインストールする

・セキュリティ対策ソフトを常に最新の状態にしておく

・Windowsを常に最新の状態にしておく

セキュリティ対策ソフトでの防御

新種のウイルスが出回ってすぐには、セキュリティ対策ソフトにとってそれが危険なデータなのかどうか判断できません。そのためセキュリティ対策ソフトをパソコンにインストールしていても、新種のウイルスに感染してしまうこともあります。

しかし、セキュリティ対策ソフトの販売会社(トレンドマイクロなど)は常に最新のウイルスをチェックしていますので、見つかればすぐにインターネットを通じてセキュリティ対策ソフトが最新の状態になりウイルスから守ってくれるようになります。

セキュリティ対策については「セキュリティ対策ソフト」、「Windowsアップデートの重要性」をご覧ください。

基本的にインターネットに接続しなければこれらの被害には遭いません。かと言って、危険があるからと言ってインターネットを使わないのはもったいないです。

インターネットを使わないということは、外出して事故に遭うのが怖いから家に閉じこもっているのと同じです。

しっかりとセキュリティ対策をすれば、インターネットを有効に活用しましょう。

 

次ページは「ウイルス駆除ツール・ダウンロード(遠隔操作ウイルス事件)」をご覧ください。

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